■出会いは勤め先の先輩からの紹介
一軒家を探して土地を探していた頃、会社煙草部屋でその話をしていたサーフィンをやっている先輩と話していた時、「いい設計士がいるから紹介するよ」という話があった。最初の印象は「大丈夫かなぁ?」「設計士を頼むと別途設計費用がかかるから高くついてしまう。自分はそこまで金はかけれないからどうせ断ることになってしまうだろう」という考えだった。その先輩は非常に面倒見が良く、かなりよくしてもらっていた。「まぁその人が言うのだから話だけでも」「話を聞くだけなら情報収集としては良いだろう」と思い紹介を頼んだ。
■小田さんには感銘した
「小田さんの業務経歴」「これまでの施工事例」「デザインはできるか?」「建築業界の実態」「依頼した時のどうやって進めるものなのか」「売建業者で注文はどこまできいてもらえるか」「サンプルの設計書とその価格」などなど、情報収集するつもりで会ったということもあって小田さんにとって関係の無い質問まで沢山した。その先輩社員からも聞いていたが小田さんは大手ハウスメーカの設計士としての経歴もあった。なぜそこを退職して個人の設計事務所を構えたのだろう。。小田さんはこう言っていた
自分は家が建った後、お客様が喜んでいる顔が見たくてこの仕事をしている。ハウスメーカにいた時は設計書だけ作って現場に渡してたらそれでおしまい。それ以降はお客さんとの付き合いが無くなってしまい、最後まで付き合うことができない。だから個人でやる方向を選び、お客さんと密接に協力して家を建てている。
文章にしてしまうと嘘臭い話である。営業トークとも捕らえられるだろう。しかしそんな風には聞こえなかった。事実小田さんと一緒に家を建てた私が言います。
「言葉に嘘はありませんでした」
普通なら商売が目的であり、とにかく受注すること、可能な限り高く売ること、原価をなるべく下げることが言葉の裏に見え隠れします。典型的な例はマンションのチラシと勧誘の「月々の支出は家賃と変わらない」「今買うのがあなたの為です」という営業トークです。この様な発言は客の将来をまったく考えていない営業トークです。目先の低金利(変動金利)と将来的に抱える金利上昇時のリスクを考えないトーク。あるいは月々の支出だけを見て、頭金や諸経費のことについてはなるべく触れないなど、顧客のことを一切考えてないです。私はこのような話をする営業は基本的に相手にしません。良い物件であったとしてもその営業からは絶対買いません。
小田さんの場合はそれが無いんです。小田さんの場合は自分の考えを正直に提案してきます。姑息な提案などしてきません。しかし不動産業界の営業はとにかくこの姑息タイプの営業が多いです。(特に建売/売建/マンション業者)
「小田さんって仕事の目的が本当にお客さんに貢献することなんです」
紹介してもらった先輩とも話していました。「小田さんって本当に商売気がないよね~(笑)」「でもそこがいいんだよね」もちろん小田さんも生活があるのでそれ相応の対価が必要です。もちろん私も設計料をきちんと支払いました。(当たり前ですが)
■設計士はパートナー
自分はIT企業に勤めているのですが、建築業界に非常に近い部分が多くあります。IT業界では受注後に実際どれほどお金がかかるか営業~提案フェーズではわからない部分が多いです。話をしている限り建築業界もまったく同じです。それは客の意向によりころころ仕様が変わったり、どれほどの時間で設計~構築ができるか予想が難しいからです。
家は一生に一度の買い物です。しかし私は建築の素人で短期間で仕様をバシッと決められるほどノウハウは当然持ち合わせていません。(持っている訳がありません) だから設計士には色々調べたり、考えてみたり、アドバイスをもらったり、価格調査したり、決めかけたことを変更したり、ず~っと付きあってもらわなければなりません。
普通の企業(ハウスメーカや建売業者など)の場合はこれがタブーなんです。あまり時間をかけていると人件費もかかるし、多くの仕事をこなせないからです。企業の場合だとあまりに時間がかかっていたり他の仕事が取れたりすると原価圧縮や他の案件に人を回すためにさっさと終わらせる動きをしてきます。私にとってみれば一生の買い物なのに企業からするとただの顧客であるため、こんな構図になってきます。
そうなると色々と理由を並べては無理やり客に合意を取らせて、納得のいかないまま勝手に話を進めていってしまい、最後にできたのは悪くは無いけど良くもない、まぁまぁな家。。。となるでしょう。私にとっては短期に家を建てることよりも良い家を建てることが断然優先度が高いです。おそらく皆さんもそうでしょう。実際建築業界に勤めている知人に聞くと、こういったことは実際によくある話だそうです。
個人の設計事務所の場合はこのような企業から圧力が無いことが一番の強みです。
私が大手企業に求めることはノウハウだけです。小田さんはその点前職が大手ハウスメーカーということもありノウハウに心配はありませんでした。企業の信用度はあまり重要視していません。会社がつぶれて対応してくれる先がなくなってしまうと多少困りますが、最近は第3者の保障も付けられる時代なのでそのメリットも薄れてきます。さらに企業である以上は間接費がかかってきて絶対に個人の設計事務所よりは高い人件費となります。つまりよくよく考えると大手ハウスメーカに頼むメリットはあんまりないんです。それよりも
私の家を建てるのにとことん付き合ってくれるパートナーでいてくれるほうがずっと価値があるんです。
■その誠実さからパートナーになれると判断した
「お客様が喜んでいる顔が見たくてこの仕事をしている」「その為に独立した」なんて人は今時貴重です。その当時、①売建業者、②大手ハウスメーカ、③小田さん+舘野工務店、の3パターンで悩んでいましたが結局最後はその誠実さが決め手でした。(その他コストや柔軟性、実績など色々ありますが)
自分的な順位としては結果こんな感じ
1位 小田一級建築士事務所+舘野工務店
2位 ハウスメーカ
3位 売建業者
初めは3位の売建業者にしようと思っていた時期もあったけど、しなくて本当に良かった。。
■設計士のタイプ
①デザイン設計士タイプ
⇒デザインセンスがあり、おまかせできるタイプ
②顧客重視設計士タイプ
⇒客のイメージを聞いて具体的なプランを提案してくるタイプ
大きく分けるとこんな感じなのでしょう。どちらも一長一短ですが、小田設計事務所は②でした。色々サイトを見ていると設計士は自分との相性で決めるべきとよく書かれています。自分の家を建ててみて確かにそうだと思います。自分は相性ばっちりでした。私は自分の中でこんな家が良いというイメージを持っている方だし、イメージが無い場合でも色々調べてこんな家にして欲しいと言うタイプです。
・自分で家のデザインをしてみたい
・デザインにこうしたいという持論がある
・自分が納得のいくものでないと嫌だ
こんな人は②のタイプをお勧めします。もちろん何でも一方的にこうして欲しいということはありません。何せ私は素人ですから。その殆どが私と設計士の両者で検討して決めるという過程が殆どです。
■設計している時の実例
<小田さんの場合>例えば家の間取りを決めている時の小田さんとのやり取りです
小田さんのたたき台のプランを見て、
(私)「家の外壁の凹凸はもっと少ない方がいいな。基本平面で一部分だけアクセントでへこませたい」
(小田さん)「なるほど、いいですね。しかしその場合だと斜線制限にひっかかるからこの壁をこちらに寄せて。。。」
(私)「そうなるとこの部屋が小さくなってしまうなぁ、どうにかならないですか?小田さん?」
(小田さん)「設計する時に天空率という計算方法があるんです。そうすれば斜線制限がクリアできるかもしれません。次回 案をもってきますね」
⇒次回の打ち合わせ
(小田さん)「天空率で計算したら北側斜線はクリアできました。」「ちなみにこの部屋が狭かったので1Fの寝室を南側広げてみました。そして2Fのバルコニーは土地の形に合わせて三角形にしてみました。どうでしょう?」
(私)「いいですね~。この三角形のバルコニー最高ですよ。だったらここにはコートラインを入れて開放感を強調しましょう」
・・・とこんな感じのやり取りを実際にしてきました。(何回も何回も一つ一つです)
この前向きなやり取りいいですよね?これが小田さんの良さ!!
ちなみにこのやり取りの結果は設計に反映しています。
(外観の形や三角形のバルコニー、コートラインなど)
<売建業者の場合>
ちなみにこれが売建業者の場合だと
たたき台のプランを見て、
(私)「家の外壁の凹凸はもっと少ない方がいいな。基本平面で一部分だけアクセントでへこませたい」
(業者)「それは難しそうですね。。斜線制限に引っかかってしまうのでやるとするとこの壁を引っ込ませるしかないですね。」
(私)「その場合、この部屋が狭くなりません?」
(業者)「狭くなりますね。こればっかりは法律で規制されていることなので、家の外観を取るか、部屋の広さを取るか、優先度の話ですね」
(私)「う~ん、二者択一かぁ(素人なので天空率という回避策があることは知らない)」
(業者)「我々としてはどちらも対応可能なので次回打ち合わせまでに決めて来て下さい」
⇒次回の打ち合わせ
(業者)「前回の宿題決めてきていただけました?」
(私)「部屋の広さを取ることにしました」
(業者)「わかりました。では設計書は修正しておきます。さて今回はキッチンなどの内部仕様についてですが。。。」
こうやってどんどん妥協が入ってきます。当然設計士側からの改善提案もありません。結果、仕上がる家は妥協だらけなのは明白。。。これは普通は嫌だと思いませんか?
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